メガバクテリア症 4
− 薬が効かない −
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ボクたちの幸せはどこに行ってしまったの?
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2006年12月16日(土) 転院後2回目の診察
この日の診察は、かなり衝撃的であった。
「メガバクテリアを強く疑う構造が出てきた」というのだ。
「これが通常の酵母であれば治療の必要はなく経過観察でよいのですが、メガバクテリアなら治療の対象となります。今この場ではただの酵母であるとも、メガバクテリアであるとも判断がつきかねます。獣医師同士で話し合って判定を下したいので少し時間をもらえないでしょうか。」
と言われて、しばし待合室で待つ。
メガバクテリアかどうか、そんなに分からないものなのだろうか?
前回、メガバクテリアと断言されなかったので、“さては前の獣医さんの早合点で、実は何ともなかったのかも・・・”と淡い期待を抱いていた。しかし、その期待は打ち砕かれた。
もう一度呼ばれて、説明を受けた。
院長に見ていただいて、話し合ったという事のようであった。そして、院長の見解は、
“メガバクテリアを強く疑うべきで、メガバクテリアとして治療すべきである”
という事であった。
「しかし、2週間しっかり薬を飲んでいて、全く効果がなかったということは、飲み薬による根絶は難しいです。・・・なので注射をさせてください!」
と、先生は、手つきも鮮やかに、いきなり注射器を取り出した。
一瞬、目が点になったが、気を取り直して、すでにバッグの中にしまわれていたキャリーをあわてて取り出し、ヤッピーを先生に渡した。
ヤッピー本人も、何が起こったのか訳が分からないまま、背中に黄色い薬を注射された。
初めての注射だ。針を刺された瞬間、“うにゃっ”という表情をした。
しかし、“ピー”とも“ギャー”とも言わないので、そんなには痛くなかったのかと思った。
飲み薬は1日2回、1滴ずつだが、ひょっとして、薬の飲ませ方が悪くて規定量投薬できていないのではと疑い、1滴の量を先生に確認した。しかし、少なめであったとしても直接投与で確実に飲ませているので気にすることはないという。ただ、今後は薬の量を増やした方がよいので、1回の量を2滴に増やすことになった。
先生の経験ではフィンチのメガバクテリアは過去2年間でキンカチョウ1例のみ、その病院の他の先生方の経験を含めても10本の指で数えられる程度にしか症例がないという。そのキンカチョウは6歳で、「残念ながら亡くなった」が、感染原因ははっきりしており、同種の感染鳥を後からお迎えしたためであったそうだ。
キンカチョウの6歳といえば、そこそこ高齢だし、ヤッピーとは条件が違うと自分に言い聞かせてみるが、暗澹たる気持ちになる。
ヤッピーのように感染原因が不明な例は、かつてないという。長らく同居して、仲良く“チュッチュ”しているチェリーに出ないのも謎だ。
今後の治療についての説明
1. |
まずはメガバクテリアをゼロにすることを目指すが、どうしても落ちなければ、今以上には増やさないように薬で押さえていくしかない。 |
2. |
フィンチのメガバクテリアは非常にしつこく、飲み薬でも注射でも落ちないケースがある。
今後、消化管障害が現れてくる可能性もある。嘔吐、未消化便がでるかもしれない。 |
3. |
半年、1年という長期間に渡る治療を覚悟しなくてはならない。
(もちろん、治療するしないは飼い主の意思による) |
結局、この日もヤッピーとチェリー、合わせて1時間近くも時間を割いていただいた。
次回は1週間後。
鳥専門の獣医さんが“治療した方が良い”と判断されるのであれば、迷わず治療していただくつもりであった。ヤッピーのために最善を尽くすつもりであった。
しかし、セキセイインコではメジャーな病気なのに、文鳥に関しては、専門病院でさえ殆ど例がない(=経験がない)という事にショックを受けた。
先生は、慎重に言葉を選んで説明をしてくださったが、“文鳥の場合、どのような経過をたどるのかは殆ど例がないので分からない”という事だった。
文鳥の場合はどうなのかと尋ねても、“フィンチ”と括られてしまうのが悲しかった。キンカチョウと文鳥では、違いもあるだろうに。
“何でヤッピーなのか?”と、しみじみ思った。
よりによって、そんなに珍しい病気にならなくてもよいではないか。
もし、ヤッピーがこの病気になった事に意味があるとするなら、きっちりと治療を受け、文鳥に害があるのか否かを見定める事ではないのか?
結果がどうあれ、治療実績を積む事が後の診断や治療につながっていくはずだと思った。“例がないので分からない”ままにしてはならないと思った。
これがヤッピーの運命かと問われるなら、使命であると答えたかった。
2006年12月23日(土) 3回目の診察
この日、初めて顕微鏡の画像を見せていただいた。
前回は全視野にメガバクテリアが認められたが、今回は探すと所々にいるといった感じだという。私の目で見ても、前の病院で見たときより明らかに少なくなっているのが分かる。注射の効果があったようだ。
先生が注射器を取り出すと、ヤッピーは血相を変えて、逃げ出そうとして暴れた。体重測定後、暫定的にかぶせてあった鳥かごの金網の中で、見事な垂直飛びを披露してくれた。
やはり、痛かったのか・・・
ヤッピーにすまない気持ちでいっぱいだ。
捕まった後は、おとなしく注射された。本当にお利口だ。
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お注射はイヤなんです! |
筋注だったら痛いであろうと思って聞いてみると、皮下投与だそうだ。
小鳥の背中の部分は皮膚のたるみがあるので、そこに打つのだそうだ。
注射した箇所を見せてもらうと、ぷっくりとお薬でふくらんでいた。
文鳥の体の大きさからして、結構な量ではないかと思ったが、ここは専門家に任せるしかない。
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ヤッピーの感染原因は、いくら考えても思い当たらない。可能性として考えられるのは、前の病院で指摘されたとおり、小鳥屋さんくらいだ。隣り合わせのケースに入れられていたセキセイと文鳥の雛たちは一緒に挿し餌してもらっていたのではないだろうか。皮肉なことだが、「絶対に死なない」と言った鳥屋のおじさんが第一容疑者だ。
ただ、ヤッピーはメガバクテリアと断定はされていない。
院長にまで見ていただいて、“メガバクテリアを強く疑う”というレベルなのだ。
ひょっとして、セキセイが罹るものとは別物なのか?
それとも、感染した鳥種によって形態が変化しているのか?
気になって聞いてみた。
「病原体としては同じですが、“セキセイインコとフィンチでは現れ方が若干ちがうのではないかという気がする”と院長も言っていました」という事だ。
もう一つ、チェリーへの感染はどう考えたらよいのだろう。もし、感染していた場合、糞便中に検出されなければ、病害を出さないと考えてもいいのか?
(肥満のメガバクテリア症患者なんて、ちょっと可笑しい)
「何とも言えませんけれど、予防という観点から、今飲んでいる強肝剤(ダイエット中に処方されていた)に抗真菌剤を混ぜて処方しましょう」ということになった。
徹底的に感染を避けようとするなら、放鳥も別室にしなくてはならないだろう。しかし、これ以上文鳥たちに精神的な苦痛を与えたくなかったし、チェリーのダイエットで別居するまで1年以上も同居していたので、今更という気持ちであった。
感染しているかどうかも分からないのに薬を飲ませるのには抵抗があるが、これが最善の策であろう。
「次回ですが、12月29日は病院は休みですが、私は出てきているので特別に診てあげますよ」と何故か先生は嬉しそうだ。
注射に効果が見られたので、間を置かずに第2弾を打ちたいという事のようであった。
1週間おきでないと効果が薄れるのかと確認すると、
「注射の効果自体はその日限りのものですが、間隔を置きすぎてまた増えてしまうことも考えられるので」ということだった。
しかし、諸般の事情を考慮し、次回の診察は2週間後の1月6日にしてもらった。29日はまだ勤務があったし、翌30日には帰省(350kmの移動)をひかえており、自分にとっても、ヤッピーにとっても無理がありすぎた。
もし、次回メガバクテリアが増えてしまっていたら、そこから徹底的に治療していただく事にした。
この日も1時間くらいかけて診ていただいた。
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